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| 《CONTENTS》 アメリカで起業し一旗揚げようという考え方は、何も今さら起こったブームでもなく、日本人であるあなた方だけのものでもありません。 言うなれば「アメリカで起業して一旗揚げよう」という精神こそがアメリカの歴史でありますし、日本の大企業レベルではそれなりに歴史もあり、大きな会社も多くありますが、こと日本の個人レベルの起業家になると、大変マイノリティでパワー不足の感が否めません。 中国人、韓国人、インド人、中近東の人間たちの生き残りパワーは凄く、いつでも逃げて帰れる場所がある日本人は、ハングリー差で負けているのが現状です。 まず認識してもらいたいことは、アメリカは強いもの、頭の切れるもの、度胸のあるもの、金があるもの,我武者羅に頑張りの効く人間だけがのし上がっていけるシビアでエキサイティングな世界です。 これが、私がアメリカ生活17年間中15年間ビジネス世界に身を置き、取分けこの3年間不動産業を通して多くの方の起業のお手伝いをしてきた率直な意見です。 これは何も初めから、皆様の燃えている起業精神に水をさすつもりではなく、それぐらいの心構えが必要だという事を言いたいのです。 そして次に大事なのは英語力です。 英語を話せるだけではなく、英語を通常のコミュニケーションからビジネス交渉まで使いこなせる力が必要です。 これは仕事のレベルが上がれば上がるほど皆様が実感する事になります。 英語でも表面上の意味と本来の意味を遠まわしに表現することが交渉の場面では多く使われ,それをしっかり理解できる事が重要です。 まず以上の心構えを前提に起業方法のお話に移りたいと思います。 アメリカは「新しいことウエルカム」の精神が染み付いているお国柄なので、皆様がなにをもって進出しようが関係ありません。 ただし絶対に忘れてはいけないのは、アメリカのマーケットは世界のどこのマーケットよりも成熟しているという点です。 ということは、モノの売り込み方も、ゲリラ戦法、FAXDM,インターネットDMなどありとあらゆることをやり尽くしている国、商品もないものはないという国なので、何かあったときにでも決して路頭に迷うことがないよう、ご自身の航海の羅針盤となるビジネスプランを用意しておく事が必要になります。 前回の大統領選をみてもわかるようにアメリカは戦略(Strategy)の国なので、思いつきではなく、考えた戦略でゲームプランを進めるというメンタリティが大事です。 いつも日本からこられた方のお話を聞いていると、そのあたりの感覚に乏しい人が多いようです。 私は日本生まれの韓国人なので、韓国人の人生を垣間見るチャンスも多くあります。 韓国の政情が不安定なことと、元来見栄を張る生き方をする人間が多いことから、アメリカ移住希望者があとを絶ちません(ここの出発点が日本人と違います)。 彼らの多くは、本国の土地を売却してアメリカに渡り、生活のために何が何でもビジネスを始めます。 彼らも同じように言葉の問題があります。 また、べつのパターンとして駐在で住んでいた人間が本国へ帰らずそのまま居つくタイプ。 彼らは言葉の問題はないにしても、多くは管理職か中間職で、ある程度の年数を会社に飼いならされてきたタイプ。 変にインテリ色もあるので、昔の一世のように体一つでがんばるタイプでもない。 つまり、平たく言えばつぶしの利かないタイプが多いようです。 しかし、彼らはアメリカに残りたい。 そこで何か適当な商売はないものかと地元の韓国新聞を広げてみると、あるわ!あるわ! 10万ドルぐらいで買える商売。アイスクリームとサンドイッチの店、フレッシュジュースの店、ドライクリーナー、リッカーストアーなどなど。 どれもハイレベルな英語を必要としません。 パパ、ママで力を合わせればなんとか食っていける程度の収入が見込めます。 最近では韓国人オーナーのすし屋のほうが日本人オーナーの数より多いとも聞いております。 その職種は身近なものばかりですが、これも立派な起業家としてのスタートなのです。 私には今でも心に悔しさが染み付いていることがあります。 その昔、スターバックスコーヒーがカリフォルニアに進出してくる以前から、フレッシュブレッドとカプチーノの店をやって大変流行っておりました。 しかし、結論からいえば私の店は過去の話になり、スターバックスは上場企業となったのです。 その違いは、「未来を描けるビジョンがあったか?」なのです。 たかがコーヒー、されどコーヒーなのです。 詰まり、皆様が何に取り組むにしても、自分なりのビジョン(大きな絵)から入ったビジネスプラン(具体的な行動プラン)を用意する事が必要だと冒頭に言ったのはこの為です。 「私のテーマはこれ! 切り口はこれだ!」というものがあり、そしてビジョンがあれば遭遇するであろう苦労も必ず乗り越えられると思います。 最先端の技術、又ノウハウを持ってアメリカ進出をお考えの方,その業態がどうあれ私は全く同じメッセージを全ての方にお送りしたいと思います。 結局いきつくところはそれしかないからです。 一方、皆様ご存知のようにアメリカで合法的に働くには、永住権か労働ビザ(L,H)、投資者ビザ(E)を取得するしか道がありません。 私は弁護士ではないのでビザに関しての詳しい説明はできませんが、小さな商売で手っ取り早く取得できるのはE−2ビザとよばれる投資ビザです。 これは10万ドルプラス程度の投資をする事により自分で始めたもよいし、既存のビジネスを買っても申請可能になります。 一度取得すれば、そのビジネスを続けている限り何度でも延長できるのが特徴です。 日本人には余り多くおりませんが、韓国人はこのパターンでがんばっている方々が非常に多いようです。 最後に、ビジネスをゼロからスタートさせる場合と、既存ビジネス買収でスタートさせる場合の違いを説明したいと思います。 なぜならアメリカではビジネス売買が大変盛んだからです。 他州にいる私の叔父は、偶然が重なってテリヤキテイクアウトの店の開店屋をやっております。10万ドルぐらいで店を作り、ある程度はやらせ1年後ぐらいに15万〜20万ドルぐらいで売却しております。 それを連続してできるほど購入希望者が後を絶たないのがアメリカなのです。 先ほど韓国新聞で不動産エージェントが宣伝している商売の多さについて書きましたが、やはりその道の経験がない人間からすると既存のビジネスを買い取って、そのビジネスを継続するほうがはるかに苦労がすくなくて生活ができるようになります。 何しろビジネスを買う時のチェック項目はそれほど多くなく、売り手がトレーニングをしてくれて、最終的に手元にいくら残るのか? というボトムラインが決め手となるからです。 もし自分でビジネスをゼロから立ち上げるとなるとそうはいかないはずです。 オフィスや店のロケーションの選定、リースの取得、許認可の取得、顧客の開発、宣伝、ビジネスプランの遂行などのサブ仕事で相当な時間とお金そしてエネルギーが必要とされ、開店前からお金はどんどん消えていきます。 各種の雑用の為本来の仕事であるセールスになかなか集中できる時間がとれない羽目になります。 セールス活動についても、アメリカ、特にロスアンゼルス近郊あたりでは日本のように道行く人をプラカードなどで誘導する事は禁止されておりますので、宣伝費も嵩む運命にあります。 その点、既存店やビジネスを取得をすれば自分で作るよりは多少高いが、すでにいる固定客(Goodwill)に対してお金を支払うという考え方で価格設定がされている為非常に明確な投資計画やビジネスプランを持てるようになります。 別の考え方として、低予算で始めることが大前提の方にはアセットセール(設備等の資産価値のみの販売)で買いとる手もあります。 この手の物件は、グッドウイルが入っていないため(既存の商売としての価値はゼロのため)破格の値段で取引される事になります。 ただし値段が安いことだけで飛びついてはいけません。 アセットセールで売られるということは何かの理由があってビジネスが存続できなかったのですから,その理由をしっかり把握してから買うべきか否かの判断を下すようにしてください。 場所が悪いとか、サービスの面だとか、マネジメントが悪いだとか、味が悪いとか,そのビジネス崩壊の理由が色々あるはずです。 その結果,もしマネジメントがゆえに失敗であったと判断できれば、ノウハウに自信がある人であれば買う事をおすすめします。 然しノウハウも何も無い人がみようみまねでやろうとすると98%は1年以内に同じ道を歩むことになります。 私の知り合いは上手く行っていなかったハワイアンファーストフードチェーンを手に入れ、流行らすことに成功いたしました。 以上、簡単にアメリカで起業したい人に対して説明を試みましたが、これはあくまでも個人か資本や人数が限られた小さな会社を対象にしております。 ある程度の会社になれば、当然勝負をする世界が違ってきますのでテクニック的には当てはまらないところもありますが、しかし「まずアメリカで始めるのは大きなビジョン作りから」という基本線においてはまったく変わらないものと思います。 私は不動産業ですので既存店の売買、新規店舗取得等で皆様のお手伝いできると思いますが、その他に移民弁護士、ビジネス弁護士、公認会計士はあなたのビジネスチームの中に必ず必要な専門家ですので、それをお忘れないようお願い致します。 【質問、お問い合わせ先】 アメリカで起業する場合、以下の形態がまず考えられます。 1. Sole proprietor(個人商店) これから始めようとしているビジネスに対してどの形態で始めるのが最も適切なのかを考えた場合、以下の基準を参考にするとよいと考えられます。 1.
Sole proprietor(個人事業) 2. Corporation(株式会社) 3. Partnership(パートナーシップ) 4. LLC(リミテッド ライアビリティー会社)
1. Sole proprietor(個人商店) 2. Corporation(株式会社) 3.
Partnership(パートナーシップ) 4. LLC(リミテッド ライアビリティー会社) その他、気をつける点: 1. 起業を始める場合、起業をしてから少なくとも3ヶ月先までの計画をたてられることをお勧めします。その過程のなかでご自身のプロダクツまたはサービスにマーケットがあるかどうかをある程度読んでください。マーケットがないところでビジネスを始めても、それはビジネスではなくボランティアになってしまうことがあります。 2. 会社が成功するか否かは早ければ3ヶ月程度ではっきりします。したがって、最低でも3か月分の運転資金および生活費を貯めるか借りられるようにしておくことをお勧めします。 3. 失敗した場合(当初の計画よりも損失が膨らんだ場合)、どのポイントで撤退するのかをあらかじめ決めておいてください。また、その場合にはどうするのかも考えておいてください。 4. 成功とはビジネスで利益を出し続けることです。ワンタイムの利益はばくちかくじと同じです。 5. 以上を勘案するとなるべく少ない資金で大きな利益または目標利益を稼ぎ出すことが当初の目標になります。 以上の内容に関するお問い合わせ: Oshima Saito LLP ロサンゼルスオフィス IIA Consulting ロサンゼルスオフィス Oshima Saito LLP ニューヨークオフィス
カリフォルニア州弁護士 高松良幸 1.口約束は避けましょう 契約といえば、よく口約束は法律上で有効なのかという質問を受けます。答えは基本的にはイエスです。それでは実際に契約書を作る必要がないのかというと、そうではありません。大事なのは「法律上で」有効という点です。 例えば、太郎君が花子さんからDVDプレーヤーを$100で買う約束をします。ここではこの契約は口約束で、法律的に有効だったと仮定します。花子さんは同じDVDプレーヤーを$120で次郎君に売ってしまいます。それを知った太郎君は花子さんに口約束を守るよう要求しますが花子さんは太郎君を無視します。そこで太郎君は口約束を行使するために裁判所へ行きます。太郎君は裁判官に「花子さんとは法律上有効な口約束があります。それを行使して下さい。」と申し出ます。花子さんは「そんな約束をした覚えはありません。」と主張します。裁判官はこのように事実関係について当事者間の意見が食い違う場合に、どちらの主張が信用に値するかを判断します(話が少しそれますがアメリカで陪審員がする事は基本的にこの事実関係の判断です)。ここでは裁判官が頼れるのは当事者の証言だけです。このため裁判官が太郎君の主張を認める可能性は基本的に50%という事になります。 もし太郎君がこの裁判官に対し証言以外の証拠を示すことが出来れば、裁判官が太郎君の主張を認める可能性がより高くなります。このため書面による契約が重要になってくる訳です。実際のところ花子さんも契約書があれば次郎君へ売る時も少しは戸惑ったかもしれません。また契約書で事実関係がはっきりしていれば、高い弁護士費用を払って裁判を起こす必要もなく、当事者間で問題が解決される確立も高くなります。 また花子さんは単に太郎君との約束を忘れていた可能性もあります。もちろん花子さんは故意で口約束を反故にしたかもしれません。契約書はこのような当事者の誤解を防ぐ役割もあるわけです。 口約束だけでは同じ言葉を話す日本人同士でも勘違いや思い違いが生じがちです。特にわれわれ日本人が英語で話をする場合、例えばCokeと言ったつもりでもForkが出てきたり、FifteenといったつもりがFiftyと理解されたりと、さらに誤解が生じます。このため日本人が英語でビジネスを行う場合に契約書はいっそう重要となります。 なお一部の約束は書面での契約がない限り法律上無効となります。一般的には不動産の売買、$500以上の物品の売買、結婚を条件とした契約(例:娘と結婚したらうちの会社の専務にする)、また契約後1年以内に履行する事が出来ない契約(例:13ヵ月後に何か買う)等がこの例外に当てはまります。これらの契約は詐欺の対象になりやすいため、その名の通り詐欺防止法(Statues of Fraud)という法律で一般に規定されています。 (2004年2月)
一般に契約書には様々な条項が盛り込まれていますが、これらの内容は大まかに2種類に分ける事ができます。ひとつは契約の目的である本質的な約定です。例えば売買契約書であれば売買する物品、価格、数量、支払方法、引渡時期等がこれにあたります。もうひとつは契約書の最後の方にあり通常あまり目を通すことのないいわゆるボイラープレート(Boilerplate)と呼ばれる定型文言です。ボイラープレートには一般に弁護士費用(Attorneys' Fee)、紛争解決(Dispute Resolution)、管轄(Jurisdiction)、準拠法(Governing Law)、完全合意(Entire Agreement)、不可抗力免責(Force Majeure)、契約変更(Modification)等が含まれます。これらの条項はいずれも当事者間で問題が起きた場合を想定しています。 日本人の感覚だと契約はこれから前向きにビジネスを進める最初のステップで揉め事が起きたときのことを事前に決めるなんて、結婚する前に離婚の事を考えるようで縁起が悪いと思いがちではないでしょうか(話はそれますが実際にアメリカでは夫婦間での財産等について結婚前に契約するカップルもいます)。当然アメリカでもそのような考え方はあります。しかしアメリカでは実際に何か問題が起きた場合に、訴訟で問題解決をするという傾向が日本よりは強いため、このような条項が契約書に入っている事が一般的です。いわゆる紳士協定的な条項(例:「紛争は当事者の真摯な話し合いで解決する」)が幅広く使用されている日本とは異なり、訴訟社会のアメリカでは紛争解決に関する条項を事前に合意する事に経済的なメリットがあるからです。 仮にカリフォルニアの販売業者が取引先であるニューヨークの製造業者をカリフォルニアで訴えるとします。契約書には定型文言がなく、「管轄・準拠法」について当事者間で何も合意がありません。製造業者はカリフォルニアに拠点がないため、カリフォルニアの裁判所には管轄がなく、裁判は無効であると主張します。また仮に管轄があったとしても、契約書は自分に有利なニューヨークの法律で解釈すべきだと主張します。この2点だけを争うのにも、かなりの時間と費用がかかります。もし当事者が契約書の定型文言で「管轄・準拠法」について合意をしていた場合には、この点について争う必要がなく時間と費用が節約できることになります。 またアメリカでは弁護士・裁判費用は双方自己負担が原則です。しかしボイラープレートで裁判での勝者が敗者より弁護士費用を受け取る事ができるとあった場合は、裁判所がこの条項を行使する可能性がでてきます。「紛争解決条項」では裁判を提起する前に仲裁(Arbitration)をしなければならないと定めているかもしれません。この条項を無視して裁判を起こした場合、一般に相手方は裁判の停止を要求する事ができます。「完全合意・契約変更条項」では一般に契約書に記載されている以外の約束は無効であるとされています。例えば契約書をサインする前後に売買数量を100から500に口頭で変更したとします。契約書には100と書いてあり「完全合意・契約変更条項」がある場合は当事者間で数量について問題が生じた場合は、一般に契約書に記載されている数量が行使されます。 このように契約書を締結する際には、ビジネスに直接関係する本質的な条項だけを合意・理解するのではなく、ボイラープレートにも目を通し、紛争解決時のリスクを理解しておく事も大変重要です。もし契約書に理解できない条項がある場合には、サインをする前に専門の弁護士に相談するようにして下さい。 (2004年4月)
カリフォルニア州法は契約を「何かをするかしないという合意」と簡単に定義し契約が法律上有効であるためには「当事者の合意」、「十分な約因」、「契約目的が合法である事」が必要とされています。「当事者の合意」は考えてみれば当然の事です。仮に太郎さんが花子さんから自動車を購入するという立派な契約書を作って署名をしたとしても花子さんが自動車を売る事に合意してなければ契約は成立しません。 「約因」というのはもう少し難しい概念です。そもそも「約因」という言葉は英米法の Consideration を無理矢理翻訳したもので普段ではほとんど使わない言葉だと思います。簡単にいうと約因とは契約当事者が交換する「もの」です。物品の売買契約であれば売主が物品を売るという約束と買主が代金を支払うという約束がそれぞれ「約因」になります。仮に太郎さんが「3ヶ月後に花子さんに5千ドル差し上げます」とだけ書かれた書類を作成し2人はこの事に合意しこの書類に署名します。これ以外には何の約束もありません。花子さんはこの約束をすっかり忘れて4ヶ月後に身の回りを整理した時にこの書類を偶然見つけます。太郎さんから5千ドルの支払いを受けていない花子さんは裁判所でこの契約の履行を求めます。しかしこの契約は太郎さんの5千ドルの支払うという約束に対し花子さんが太郎さんへ渡す「もの」すなわち「約因」が存在しないため法律上は贈与とみなされ履行を求める事が出来ません。 もしこの書類が「花子さんが3ヶ月間飲酒・喫煙・ギャンブルをしなかった場合は5千ドル差し上げます」となっており、花子さんが約束通り飲酒・喫煙・ギャンブルをしなかった場合にはこの約束は法律上有効な契約となります。太郎さんは花子さんから何も受け取ってはいませんが花子さんが自分の法律上の権利(花子さんが法律上飲酒・喫煙・ギャンブルをする権利があったと仮定します)を放棄したという事実が「約因」として認められているのです。ちなみにこれはロースクールの契約法の講義でも良く取り扱われる19世紀に実際にあった事件です。実際は判例では叔父と甥との間の約束で約束をはたした甥は既に死亡していた叔父の財産管理人に支払いを求め勝訴しています。 ビジネス関係の契約書では契約自体の有無が問題になるケースは少ないですが既存の契約の内容を変更する場合に「約因」に関する問題が発生する可能性はあります。誤字・脱字の訂正やその他形式的な変更と違い契約内容の実質的な変更は新たな契約と理解され法律上有効となるためには「約因」が必要になります。最も身近な例は支払期日の延長です。合意した金額より多くの金額を支払う等の「約因」がない限りこのような延長は無効で債務者は延長の履行を法律的に求める事は出来ません。 「契約目的が合法である事」もわかりやすい概念だと思います。当然ながら違法な行為をする事を目的とした契約は法律上無効です。これを逆に考えると目的が合法的である限りはどんな内容の契約を結んでも良い事になります。実際に上記の花子さんの例にもあるように法律で認められた権利を放棄する契約も合法となる事があります。しかし一見合法的に見える契約でも内容によっては履行を求める事ができない可能性があります。例えばオフィス用ビルの建設契約は合法的な契約ですが建設業者が必要な許可を保持していない場合には許可が下りるまでは契約の履行を求める事が出来ない可能性があります。 このようにカリフォルニア州法ではとても簡単に定義されている「契約」ですが実際に法律上有効かどうかを判断するためには上記を含めたさまざまな要素を考慮する必要があるのです。 (2004年6月)
競争禁止条項は「covenant not to compete」または「non-compete agreement」と呼ばれビジネスの売買契約書また雇用契約書等に良く見られます。この様な条項は基本的に契約の当事者が契約相手のビジネスと競合する事を禁止します。ビジネス売買の場合はビジネスの売り主が売却後にそのビジネスと競合するビジネスを行う事を禁止します。雇用契約の場合は従業員が会社を辞めた後に競合他社で働く事を禁止します。アメリカの多くの州ではこのような競争禁止条項は法律的に認められていますがほとんどの州では適用範囲を制限しています。なお通常は契約が締結された州の法律が契約書の解釈に使用されます。 「基本的に有効で例外的に無効」という多くの州のルールとは異なりカリフォルニア州では競争禁止条項は基本的に無効で一定の基準を満たす事によりはじめて有効となります。このルールはカリフォルニア州のビジネス&プロフェッショナル法16600条にある「Except as provided in this chapter, every contract by which anyone is restrained from engaging in a lawful profession, trade, or business of any kind is to that extent void」という条項が基になっています。例外的に競争禁止条項が有効となるのはビジネス売買でいわゆる「のれん」(good will)の譲渡が行われる場合です。 ビジネス売買において買い主の多くはこれまで売り主が培ってきた評判・信頼等の「のれん」を引き継いでビジネスを行っていく事を目的にします。このためもし売買の後に売り主が隣で同じビジネスをはじめ競合相手になれるのであれば「のれん代」を支払う意味がなくなります。また売り主もこの「のれん」を法律上引き継ぐ事ができなければビジネスの売買自体が困難になりかねません。このため一般にビジネスの売買契約には「売り主は一定地域で一定期間は競合ビジネスを行ってはならない」等の競争禁止条項を入れる事が法律で認められています。なお「一定地域」また「一定期間」はビジネスの内容・規模等により変わってきますのでこの様な条項がすべて有効となる訳ではありません。 なお「法律上有効」また「無効」というのは契約上の権利を裁判所で行使できるかという事になります。仮にロスアンゼルス市内で日本食レストランを経営する太郎さんがそのレストランを花子さんに譲渡します。売買契約書には「太郎さんは譲渡後2年間ロスアンゼルス市内で日本食レストランを経営してはならない」という競争禁止条項があります。太郎さんがレストランを譲渡した3ヶ月後にロスアンゼルス市内で日本食レストランを開店したため花子さんは競争禁止条項を行使しするため民事裁判を起します。裁判所がこの競争禁止条項を「法律的に有効」と認めた場合には太郎さんに対しレストラン経営を中止するように命令を出す可能性があります。しかし裁判所が競争禁止条項を「法律的に無効」と判断した場合には両者が合意の上で署名した競争禁止条項でも花子さんは行使する事が出来ないのです。 カリフォルニアでは「従業員は退社後の一定期間に雇用者の競合相手に勤務してはならない」等の雇用契約における競争禁止条項も法律上無効です。このため従業員育成に力を入れている雇用主が従業員の流出また同業他社からの引き抜きを阻止するためには競争禁止条項以外の手段を講じる必要があります。自社の開発した技術や顧客リスト等の企業秘密(trade secret)を守りたい雇用者は従業員との間で秘密保持契約(confidentiality agreement, nondisclosure agreement)を結ぶ事が出来ます。しかし秘密保持契約は従業員の退職後の雇用に影響を及ぼす事があるため(例:ハイテク企業で最新鋭技術を研究する技術者に退職後それらの技術の使用を制限した場合には転職先を探す事が難しくなる可能性がある)一定の条件を満たさない限り法律上無効となるので注意が必要です。 もし秘密保持契約が法律上無効とみなされた場合にも雇用者は企業秘密に関する法律(Trade Secret Act)や不正競争に関する法律(Unfair Trade Practice)等で認められた一定の権利を民事裁判を通して行使する事が出来ます。しかし「企業秘密」には法律上の定義があり雇用者の認識とは異なる可能性があるので注意が必要です。また裁判は時間と経費がかかり結果も予測できませんのであらかじめ雇用契約・就業規則等を通じて権利を守る事が重要です。 (2004年10月)
太郎さんがある商品を$60,000で花子さんから購入し、商品代を毎月$10,000、6ヶ月間支払うという契約をしました。商品は契約時に太郎さんが受け取っています。太郎さんは最初の2ヶ月は期日に代金を支払いましたが3ヶ月目の支払いをしませんでした。この場合花子さんは太郎さんに3ヶ月目の$10,000の支払いを求める権利があります。しかし契約に特別の定めがない限り4ヶ月目以降については期日が来るまで支払いを請求する事は出来ません。このため花子さんは期日ごとに裁判で支払いを要求するか最後の期日が過ぎてからまとめて裁判を起すかの選択をしなければなりません。複数の裁判を起すには経費がかかります。一方6ヶ月間待っているうちに太郎さんの支払能力が著しく低下する可能性もあります。 この様な事態を避けるため金銭の貸付契約には「Acceleration Clause」と呼ばれる弁済期繰上条項が入っているのが一般的です。弁済期繰上条項はローンの返済が滞った場合等、貸付契約に違反があった場合にお金を貸したが側がローンの残高をAccelerateする事が出来る、すなわちローン残高全額の支払期限を繰り上げる事が出来るという効果があります。もし上記の契約に弁済期繰上条項が入っていた場合は3ヶ月目の支払いが無かった時点で花子さんは残高をAccelerateし合計$40,000の支払いを求める事が出来るのです。 またこの様な金銭の貸付契約では支払いを保証するために売買契約の対象物に担保を設定するのが一般的です。身近な例では家や自動車を購入する際のローンがあげられます。担保を設定しておけばお金を借りた側に支払能力が無い場合でも最終的には担保の差し押さえで資金の回収が図れるからです。 担保の設定は契約の当事者間で行ないますがその担保を第3者に行使しようとする場合には通常法律で定められた方法で登記を行なう必要があります。冒頭の例で花子さんが商品に担保を設定しましたが必要な登記はしなかったと仮定します。太郎さんはその商品を担保に$40,000の融資を第3者の銀行から受けました。銀行は商品に花子さんの担保が設定されている事を知らずに担保を登記します。基本的には先に登記を行った方が担保の優先権を持つためこの場合は銀行の担保が先に設定された花子さんの担保より優位となります。この様に担保を設定しただけでは第3者に行使出来ない場合もあるのです。 冒頭の契約には「商品の売買契約」と「商品代金の貸付契約」という2種類の約束が含まれています。この様な取引の際には銀行等の金融機関が売買に必要な資金を融資するのが一般的です。花子さんが太郎さんに商品代金を融資をする事自体に問題はありませんが金銭の貸与契約には上記の様に商品の売買契約とは異なった法律問題があるため注意が必要です。
カリフォルニア州弁護士 高松良幸 (高松弁護士への連絡は一旗会あてにお送りください)
本稿はあくまでアメリカの法律について一般的な情報を提供することを目的としており、例として上げられた事案に関する法律のアドバイス、法律に関する意見を述べたものではありません。筆者は正確な情報を提供するよう心がけておりますが、本稿の内容が正確であるか、完全であるか、また最新の情報であるかについて保証はいたしません。本稿の内容を利用される前には必ず専門の弁護士にご相談下さい。また本稿の著作権は上記個人に帰属します。無断転載はご遠慮下さい。
■個人事業者が倒れた場合に備えた準備 (法人組織ではなく個人事業者 Sole Proprietor を想定した場合) 経営者の死亡や障害に備えたプランニングの提案: 1. 自分に代わって誰かにビジネスを運営してもらうためのプラン
2. 家族にお金を残すためのプラン
新規事業の立ち上げに伴い、ビザを取得するには、様々な方法が考えられ、それは、事業の種類、形態、投資金等によって異ります。場合によって(或いは、多くの場合)は、多額の当資金を必要としない場合もあり、ここでは、起業される方々が、ビザ取得に当たって、できる限り、無駄な経費・時間を使うことなく、ビザの取得ができるようご説明させていただければと思います。 まず、日本に会社をもっている方が米国に新規事業を立ち上げる場合。これに、一番適しているのは、L-1ビザであると言えます。L-1 は、日本にある会社(親会社)から米国内にある会社に派遣される人のためのビザです。このビザの主な条件は、米国にある子会社の(原則的に)50%以上を日本にある親会社が直接的、あるいは間接的に所有していること、申請者が、申請前の3年間のうち1年間以上は親会社、あるいはその関連会社において管理職(L-1A)または、特殊技能者(L-1B)として勤務していることなどが挙げられます。上記の「直接的、あるいは間接的に所有している」という事に関してですが、「直接的」とは、アメリカに設立する子会社の50%以上の株式を、日本の親会社が直接的に所有している形態を指します。この場合は、税法上、連結決算の必要性が出てきます。これに対して、「間接的」とは、日本の親会社の50%以上の株式を所有しているある個人(ビジネスオーナー)が米国に設立する会社の50%以上の株式を所有する場合、移民法上は、親子関係が認められるため、Lビザの対象になりますが、税法上、親子関係が成立しないため、連絡決算の必要性がなくなります。日本の本社での連結決算を避けられたい方には、この方法が得策であると言えます。 このLビザ申請の条件としては、日本の親会社の総売上額が、約4億円(業種によっては約2億円でも可能性はあります)以上、従業員が10人以上の会社であれば、アメリカに子会社を登記(約1週間で可能)し、銀行口座開設後、会社の場所となる事務所の賃貸借契約を取得し、日本から約10,000ドル程度の送金を行った時点(後述するEビザでは、この時点では不可能です)で申請が可能です。後に述べます、E ビザ等に比べ、遥かに短い期間でビザを取得する事ができ、早期に事業開始に専念できる体制を整える事ができます。申請には、アメリカの移民局で認可を得るのに通常3ヶ月を要しますが、規定の申請料に加えて、1,000ドル余分に移民局に支払う方法(Premium Processing)により15日程度で結果を得る事ができ、その後、日本のアメリカ大使館・領事館でビザを取得すれば、L-ビザにての入国が可能になります。L-1ビザは、L-1A(管理職者)とL-1B(特殊技能者)があり、L-1A は、最高7年まで、L-1B は最高5年までの延長が可能で、この間に、延長に制限のない、E-1、2(後述します)や、グリーンカードへの切り替えを行うのが一般的です。 次に、日本にL ビザの条件に見合う会社がない場合についてご説明します。ここで、考えられるのが、E ビザに関してです。Eビザは、E-1ビザ(通商ビザ)とE-2ビザ(投資家ビザ)に二つに分かれています。どちらも、アメリカにある会社の少なくとも50%以上の株式を日本人(米国籍もグリーンカードも保持していない人)或いは、日本の会社(この場合は、上記のL-1の条件を満たしていない会社でも可)が所有している必要があります。ここで、まず、注意していただきたい事は、E-1、E-2 とも、その利用できる、長さや滞在・就労資格が同じであるにもかかわらず、E-2ビザが投資を必要とするのに対し、E-1 は投資を必ずしも必要としないと言うことです。ビザを取得するために多額の投資をされる方を多々見かけますが、E-1の条件を満たしているにも係らず、ビザを取得するために、当該ビジネスに必要とされる以上の投資を行う事は、不必要なビジネス上のリスクを抱えることになります。これから始めるビジネス自体が投資を必要とするものであれば、それに相当する投資を行う事は必然的なことですが、ビザを取得する為だけに、ビジネス自体が必要とする以上の投資を行う事は避けたいものです。 そこで、E-1の条件を満たすには、上述の条件に加えて、日米間で相当額の貿易を行っている事が要求されます。ここで言う貿易とは、通常、商取引(Trade)を意味しますが、これには、商品だけでなく、サービスの交換、売買も含まれます。従って、旅行会社、日米間のコンサルティング業(日本の顧客が米国内での調査等を依頼するような場合)もこのE−1申請の対象となります。 E-1申請には、実際の日米間の商取引を2、3ヶ月行い、実績を作った後、通常、日本のアメリカ大使館・領事館にて申請を行います。しかしながら、既に、何らかのビザ(例えば学生ビザ)を持ってアメリカに滞在している場合は、アメリカの移民局にてE-1ステータスの申請を行う事ができ、その場合は、アメリカ大使館・領事館にて申請を行うよりも、諸々の審査基準が低くなります。従って、この場合は、従来のE-1ビザ申請の条件を満たしていなくとも(例えば、貿易額が低い)、認可を得られる可能性が高いと言えます。 最後に、上記のどの場合にも当てはまらない場合が考えられます。例えば、会計事務所、コンサルティング、翻訳業等で、日本に会社があるわけでもなく、日米間で貿易を行うわけでもなく、かと言って、多額の投資を必要とするわけでもないような場合は、H−1Bの申請が考えられます。 Taki Law Offices 1801 H Parkcourt Pl 21221 S. Western Ave., Suite 215 3435 Wilshire Blvd, Suite 1850 4660 La Jolla Village Dr., Suite 500 [このページのトップに戻る] [Homeに戻る] |
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