『「スモールビジネス」成功のセオリー90!』より

はじめに

 今までのやり方や考え方、価値観ではどうすることもできない、皆様がそう実感しているのが今の日本ではないでしょうか。
「他人まかせの人生を過ごしていたらとんでもないことになる」「自分の人生は自分で作りださなければならない」「自分の未来は自分で切り開いていかなければいけない」という事実に皆様も気付いているはずです。今こそ、これまでとは違ったアプローチが必要とされているのです。それは何か?
 どこかの会社に雇われるとか会社に頼るという考え方をするのではなく、自分の技術と能力をその会社に提供するのだという発想を持つか、さもなければ、自分の人生を自分で切り開く道具として自分の城を持つ、すなわち起業することです。また、現在従業員を0〜15人程度抱えてがんばっているスモールビジネスの経営者は、下請け的考え方や小商人的考え方から脱し、スモールビジネス特有の社会貢献を頭に置いた、スモールビジネスならではの展開をすることが望まれます。
 特に、今問題になっている中高年の就業問題については、生きていくためにはどんな仕事でもやむを得ないといった消極的な発想ではなく、今こそ実績のある人や力のある人が中心となって国を活性化するのだという発想から、人材を発掘し、それらの方々への起業支援態勢を確立することが急務ではないでしょうか。
 1976年4月10日、私はアメリカンドリームにチャレンジするため、日本を旅立ちました。そして10歳の時から憧れていたアメリカに、長年の夢がかなってやっとたどりついたのです。私が32歳の時でした。いろいろな立身出世伝に刺激されていた私は、到着早々ビジネスに着手し、成功と失敗を繰り返しながら、着実にアメリカに基盤を作ることに成功しました。
いろいろな障害が現れるたびに、「クソ、負けてたまるか」とありったけの知恵を振り絞り、なんとか乗り越えることができるようになりました。何度も何度もそのような目に遭っているうちに、遂には障害が現れるたびに「しめた、これで成功したとき面白い話ができる」と楽しめるようにもなりました。
 現在私はケータリングビジネスと自動車アクセサリー関連商品の卸ビジネスに従事しています。私のビジネスに対する考えは、資本金ゼロで始めるからこそ起業の面白みがあるというもので、現在の2つのビジネスも共に資本金ゼロで始めたものです。おかげさまで毎年順調な成長を遂げさせていただいています。
 よく「起業したいのだが先立つものがなくて」とか、「ビジネスで大金儲けをするのだ」という方がいらっしゃいますが、起業をお考えの方は、ズバリ、お金のことは一番最後に考えればいい些細な問題だと頭に入れておくことをおすすめします。ビジネスとはかけようと思えばいくらでもお金がかかるベンチャーです。いくらで済むといったことなどありえません。それなら、初めから心配するだけ時間の無駄です。あるだけで始める、それでいいのです。大きな金がなくても起業する方法はいくらでもあります。気がつかないのは、そういう方法を探そうとしないからです。だから、その気になりさえすれば、誰にでも起業することはできるのです。決して特殊な人だけに与えられたチャンスではありません。
 また、ビジネスとはお金もうけだとお考えの方がいらっしゃいますが、お金もうけとビジネスは全く別物であり、お金もうけに比べるとビジネスには想像もつかないほどの工夫と粘り、そして何よりも信念が必要だということを肝に命じておいてください。
 日本では努力という言葉が重要視されていますが、これは典型的なサラリーマン的発想でしょう。努力すれば認められる、努力すれば出世できる、努力すれば昇給できるというのは、他人に自分の運命を委ねる発想でしかありません。努力ではなく工夫するからこそ道は開かれるのです。
 サラリーマンはともかく、経営者は努力しただけでは何も起きません。他の経営者もあなたと同じように、いや、あなた以上に努力しているのです。だから、工夫する必要があるのです。工夫する経営者が勝つのです。起業することは、自分の人生の向上のために、自分が工夫していくことに通じています。志を持ち、夢を持ち、より良い明日を夢見て工夫をすれば、すべては可能になっていくのです。その一つの方法こそ起業なのです。
 1967年に最初の起業にチャレンジしてからはや35年以上。途中初期の頃に4年ほどサラリーマン生活も体験しましたが、ありがたいことに、私は社会人としての人生の大半をビジネス経営者として過ごさせていただいています。おかげで、スモールビジネスの楽しさ、そしてスモールビジネス独特の使命感を持てるようになりました。また、アメリカという国にいるからこそ、ますます祖国の日本のことを考えるようになりました。日常のビジネスにおいては、自分はどこにいても日本人であるという意識とプライドを持って行動しなければ、ビジネスの成功は難しいという現実にも気付くようになりました。
 アメリカは一攫千金の国だと言われていますが、金もうけに関して実際に功をなりとげた方たちに成功の秘訣をうかがってみると、相手が満足し、納得し、喜ぶ仕事を一生懸命実践すれば、お金は自然についてくるといった、ごく単純な事実がわかりました。
 しかし、その反面、そのようなアメリカ社会において、多くの日本人がスモールビジネスにチャレンジし、武運つたなく次々と消えていくという厳しい現実も多く目撃してきました。十分な準備もなく、大手企業のような各種の支えも資金的余裕もなく、がむしゃらにアメリカンドリームにチャレンジしたものの、長時間労働や不安定な収入に苦しみ、挙句の果ては夜逃げといった多くの人たちを見て、何か打つ手はないものかという思いを抱いたものです。
 うまくいっている人たちでも、現実はさほど甘いものではありませんでした。そのような現実を知れば知るほど、彼らを支援する組織の必要性を感じ、ついに1997年12月、在米日本人のスモールビジネス経営者支援のための組織として、「一旗会(ひとはたかい)」を立ち上げることにしました。アメリカで志を抱く在米日本人の若手経営者同士が、お互いの力を持ち寄り助け合って、後続する日本人のために成功を目指してがんばることを目的とした団体です。皆生き生きと輝いた目をして、日夜ビジネスに没頭しています。
 私がこれほど楽しんでいるスモールビジネス経営。それは自分の生きざまそのものだと思います。誰もが責任を持とうとしない大企業とは異なり、自分が中心になって自分の夢や希望に向かってチャレンジする喜びと楽しみ。お客様から感謝の言葉をいただいたときのあの感動。真剣に苦情を言ってくださるお客様の誠意。大会社の部長、役員という肩書きよりも、自分が社長であるという実体がもたらす自信と迫力。そして何よりも、自分の努力次第で自分の未来をつかめるという絶対の真理。あちらこちらに散在するスモールビジネスのおかげで、便利さや手軽さ、経済的メリットを享受できる多くの消費者の喜び。そのような現実を目のあたりにしたとき、スモールビジネス経営者としてこれほど誇りに感じることはないのではないでしょうか。
人生は一回限りと言いますが、最も自分らしい生き方を実現させてくれる道具、これがスモールビジネスであり、これこそがスモールビジネスの独壇場だと感じています。
 もし新しい生き方や新しい人生、新しいチャレンジ、そして希望に満ちた自分の未来を本当に心から望むなら、今までと同じ考え方や価値観を持っていたのでは、決して手にすることができないということに気付いていただきたいと思います。
 では、何をどう変えたらいいのか? この本はそれらをつかむためのヒントとして、皆様に役立てていただくことを念頭にまとめたものです。私のアメリカでの実体験をもとにしていますが、日本の皆様にもきっと役に立つ内容だと信じています。一日も早く皆様が生き生きと張りのある生活を取り戻し、日本再生の重要な力になることを心より祈っています。

2003年7月、故国の繁栄を願いながら、アメリカ・ロサンゼルスにて。 

射手園達一

|戻る|