『「スモールビジネス」成功のセオリー90!』より

大きな問題に直面したら、すべては解決可能と信じて問題にぶつかっていこう

 大きな問題に直面すると、よく人はその問題を実物以上の大きさに感じ、思考停止に陥ってしまってどうすればいいのかわからなくなります。これは、恐怖が全体を支配し、冷静に事実を事実としてながめる心の余裕がなくなるからのようです。もしあなたがそのような立場に立たされた場合、いったいどうしたらそのような状態から抜け出し、問題解決の突破口をつかめるようになるのでしょうか。いくつかやり方をあげてみます。
1.しばらく放置してみてください
 今までの知恵や対応策ではらちのあかないような問題や深刻な問題に対しては、即座に対応することはしないようにしてください。売り言葉に買い言葉の問題と同じで、このような問題に即断は危険が多すぎますので、時間を空けて問題を見直しましょう。あとになると、あれほどばかでかく見えた問題もさほどの問題ではなかったということに気がつくはずです。きっとこれは、人間の自己防御本能が働きすぎて、自分で次々と不安を作り出していくためかもしれません。夜中に急に電話がなると、悪い予感がしてその電話を取るのが怖くなるときがありますが、あれと同じことだと思います。
2.けっして初めからあきらめず、すべては解決可能と思い込み、問題に取り組んでみてください
 初めからあきらめてかからないことです。何とかしようという気があればこそ、突破口を発見することもできますが、あきらめてしまっては何も起きません。
 問題をじっくり分析してみてください。すると、おのずから解決策も見えてきます。「千丈の堤も蟻の一穴から」という言葉がありますが、どんなに困難に見える問題でも、よく見ると必ずそれを解決する糸口を見つけ出すことができるものです。そこさえ押さえれば、あとは簡単。最初は考えもつかなかったような安易さで問題を解決することができます。
 問題点がはっきりしないから不安が先行し、その不安が他の不安を誘発して、雪だるま式にふくれあがるものです。不安を解消するベストな方法は、まず、想像と事実をはっきり分離させることです。問題点さえはっきりすれば、解決の糸口、すなわち突破口を見つけることはそう難しいことではありません。
3.ビジネスの目的をしっかり把握しておきましょう
 突破口を見つけるのは、一時的に問題から逃れるためではありません。目的に沿った方向を得るために模索するのです。何があってもその基本理念だけははっきり押さえておいてください。
 ここで一例として、私がアメリカでビジネスを始めて、大きな問題にぶちあたったときの話をしたいと思います。
 1976年4月10日に渡米した私は、4月13日、すべてのビジネス立ち上げ準備を終わらせたあと、リトル東京にある南加日系商工会議所を訪れ、商売のネタ探しに出かけました。事務局の方にお会いし、「自分は日本から着いたばかりですが、ここでビジネスを始めるつもりで来ました。しかし、私は当地では実績もなければ、金も、信用もありません。そこで、まず信用を築き上げたいので、何か日系社会が困っていることに貢献して、信用を築き上げたいと考えております。つきましては、何か日系社会で、こんなことがあったら助かるのだが、といったようなことはありませんでしょうか」とたずねてみました。
 そのときに聞いたお話の中の一つに、よく年配の方々から、「うちの孫の結婚相手を探しているのですが、誰か良い人はいませんか」とたずねられるというお話がありました。これならすぐ始められると思った私は、その日からビジネスプランを作成し、日系新聞に配偶者を求めている人々の募集広告を出して、1ドルの手数料だけで結婚相談所を開始しました。そして小さな結婚相談の新聞「スィート・ハート・オリエンタル」を発行し始めました。3週間も経たないうちにかなりの反響を得るようになり、リトル東京の新聞販売店でも取り扱ってもらうようになりました。昼は毎日ダウンタウンのホテル前で新聞を配布していました。
 1ヶ月くらい経ったある昼下がりに、誰かが私の家のドアをノックしました。ドアを開けると背の高い2人の白人が立っていました。「これはあなたが発行しているのか」と新聞を示して聞いてきました。「そうですが」と答えると、「私たちはロサンゼルス警察の売春取締官だが、あなたを逮捕する」と言います。ビックリした私は、「どうしてですか?」と聞き返しました。警察官が言うには、私のやっていることは、対価をもらって人を紹介しているから、売春行為にあたるとのこと。そして、もしエスコートサービスのライセンスを持っているならそれを見せるようにとのことでした。
私は、初めはこのような仕事をするつもりなどなかったので、そのようなライセンスは持っていません。それで、どうしたらそのライセンスを入手できるのかと聞いたところ、市役所で350ドル出して申請すればいいとのことでした。しかし、私にはそんなお金などありません。それを払って許可を得ない限り、逮捕すると彼らは言います。
 そこで私は、これはデートサービスではないことを証明するため、私がいかに掲載者の身元確認を行った上で掲載しているかを、死亡診断書や離婚証明書、3人以上の証明者の署名入り独身証明書などを見せて説明し、売春とは無縁な真面目なビジネスであることを訴えました。私は必死でした。せっかく目的を持って始めたことをそう簡単にやめるわけにはいかないからです。絶体絶命のピンチに立たされました。
 次の瞬間私はたずねました。「もし、手数料の1ドルを取らなければ、それでもあなたたちは私を逮捕しますか」と。しばし話しあった二人は、やっぱり逮捕すると言います。理由は、新聞を5セントで販売しているからとのこと。「それでは、もしそれを無料配布したら、それでも逮捕しますか」と私はたずねました。これには、先方も困ったようで、答がありません。そこで私は彼らに、明日警察署に行くからそれまでに答をはっきりさせてくれるように依頼しました。私は突破口作りに成功したのです。
 翌朝、私は彼らの上司に会いにでかけました。彼の答は一切の金銭的対価を受け取らないのであれば問題無しとのことでした。ただし寄付も一切駄目だと念を押されました。彼はどうにも納得がいきかねるように、なぜ、すべてをただにしてまでも、そのビジネスをやるのかとたずねてきました。このときの啖呵が私のアメリカでの第一号の啖呵になりました。
「私は日本からビジネスをやるためにアメリカにやってきました。アメリカ人社会で大きな仕事にチャレンジしたいと思っております。しかしそのための実績がありませんし、それよりも、信用がありません。そこで私はその信用を作るために、日系社会が困っていることをお助けし、まず日系社会の信用を得るためにこのビジネスを始めました。日系社会の信用できる日本人なら、アメリカ人も信用できるはずだからです。日本人としての私のこの言葉にうそはありません」
 ビックリした彼は「それならオーケーだ」とすべてが一件落着となりました。
 私が突破口作りに成功できたのは、「対価を取って人を斡旋する行為は売春にあたる」との説明で問題点がはっきりしたこと、どうしても成し遂げなければならない仕事だったので、どうしたらこのような状況でも継続できるだろうかと考えることができたこと、そして、警察官たちとそれだけの内容を議論できる英語力に恵まれていたことのおかげでした。そしてこれだけのことが堂々とできたのは、やはり日本から着いたばかりの「やってやるぞ!」の意気込みがあったからだと思っています。この「やってやるぞ!」の気概は日本からやってきたばかりのとき、新しいことを始めたとき、新しい町に移ったとき、人生の節目を迎えたとき(結婚、離婚、妊娠、出産、 家族の不幸など)、動機づけのあったときなど、人生では何回でもやってくるものです。皆様もこのチャンスを活かし、大きなこと、新しいことにチャレンジするきっかけとしてみてください。
 さあ皆様も、今日から、自分のビジネスで成し遂げていきたいことは何かをはっきり把握し、何事があっても何とかなるものだという気持ちで、どんな問題が起きても絶対乗り越えるぞという気迫のもと、明日から心機一転して成功を目指し、さらにがんばってみてください。
 もう一度繰り返しておきます。やる気のある人間には常に突破口が用意されているものです。

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