『「スモールビジネス」成功のセオリー90!』より

スモールビジネスは、利益率より回転を重視したほうが基盤を確立しやすい

 通常わずかな資金力しか持たないスモールビジネスの経営者は、利益率よりも回転で勝負したほうが、早くビジネス基礎を確立することができます。一千万円がないからビジネスができないと考えず、手持ちの5万円を何回転させたらそのレベルの仕事ができるようになるかというような発想で、お金の使い方を考えてみてください。
 例えば、月間5万円の元手で7万円売り上げて30回転させると、単純計算では利益分だけでも月60万円以上の仕事を扱うことができて、一年がんばると利益が720万円以上の仕事ができるようになります。確かにコストはかかりますが、そのぐらい回転がきくようになると、供給元が支払い猶予を申し出てくれるようになり、結果として、年間一千万円の仕事に取り組むことが可能になります。
 そのように簡単にうまくいくのでしょうか? 実のところ、あなたにできるかどうかはわかりませんが、それが酒屋を相手に私がやったことです。
1976年、当時の私は、卸業者から現金で買いつけるとすぐ売りに出て、その売上金を持ってまたすぐ卸に直行。手持ち現金で目いっぱい買い付けて、その足でまたセールス。毎日顧客と卸の間をピストン運行し、少なくとも平均1日2回転以上のスピードでがんばっていました。後日、縁あって銀行から融資を受けたとき、支店長はそのあまりの回転数にビックリしていました。
 それでは、そのように資金の回転率を高めることができたのは、何がキーポイントになったのか、そのあたりを見てみましょう。
1.安さを顧客に喜んでいただきました
「ワー安い」という感覚を持ってもらう工夫をしました。一個の卸値段が5ドルする場合、いくらだったら「ワー安い」という感覚を持ってもらえるのか、4ドル、3ドル75セント、3ドル50セントなどいろいろな価格を試した結果、3ドルまでいかなくても3ドル50セントで十分ということを確認しました。
その上で、卸にいくら以上買いつけるからという条件をつけて、ほかが2ドル50セント払っている商品に対して2ドルでどうかと交渉しました。私はこの買い付け交渉のおかげで、利益の出るビジネスを展開することができるようになりました。ほかの業者は、そのような交渉はしないで2ドル50セントで仕入れ、高い人で5ドル、安めの人は4ドル50セントから4ドル25セントで卸していました。
それに対して私は3ドル50セントで卸したので、飛び込んだあちらこちらの店に買ってもらうことができて、それだけ資金の回転率を高めることに成功しました。最初は、サンプル分の5ドルしか買わなかった私が、ほとんど1時間単位に戻ってきては、10ドル、20ドルと買うので、「もっとまとめて買ったらどうか」と商品供給者がすすめてきましたが、「まだまだ」と断り、それこそ初期の頃は1日10回以上供給者のところに行ったり来たりしていました。
それがある時点から、毎回の金額が100ドル単位になり、しばらくして300ドル単位に、そしてそれが500ドル単位になりだすと、「これを売らないか」と売れ筋商品を教えてくれるようになり、「見本も持っていけ」とただでくれるようになりました。小さな取引しかできなかった私は、繰り返しの取引で、相手の信用を獲得することに成功したのです。
そして、小さな資金も回転のおかげで雪だるま式に増え、顧客数もどんどん増えていきました。安さに的を絞った私の作戦は、一回あたりの利益は少なくても、資金の高速回転により、トータルとして1日あたりの収入を増やすことに成功したのです。もちろん、そのぶんとても忙しい目にあいましたが。
2.「欲しいものを欲しいだけ」という方式で喜んでいただきました
「ワー便利だ」「ワー助かる」がお客の反応でした。私は資金の回転を早めるために、商品の回転率を早める方法として、注文は何個以上というミニマムオーダーやケース単位の販売方式をとらず、欲しいものを欲しいだけというやり方をとりました。
私にとっては一回あたりの利益は微々たるもので、売上をあげるために相当忙しい思いをしなければなりませんでしたが、お客様にとってはすこぶる手軽な買い方のため、寄るたびごとに何かを買ってもらうことができて、すこぶる効率のよい顧客獲得方法になりました。
3.一回あたりの取引金額が50ドル未満になるようにして、現金払いでお願いしました
 50ドル未満の取引では、黙っていてもすぐ現金で支払ってくれたため、訪問するときは必ず一品ずつ販売するように心がけ、現金回収を心がけました。何しろ私はすぐ買いに走るので、現金がなければならなかったからです。
 5ドルの元金で私がビジネスを立ち上げることができたのは、上に述べたやり方をしたからです。その立ち上げに使った商品は、使い捨てライターと野球帽、サングラス、ボールペンの4品だけで、うまくいきだしてからはビーチサンダルも扱うようになりました。
顧客として的を絞って軒並み訪れたのは、酒屋、ドラッグストア、食料雑貨品店、コンビニ、ガソリンスタンドなどでした。なぜこのような店に的を絞ったのか? それは、これらのお店は各地域に複数存在していて、効率のよい販売を実行しやすかったからです。
「ちりも積もれば山となる」の言葉のように、わずかな利益で回転を活かして勝負したやり方で、初年度の7ヶ月で25万ドル以上の売上を達成できたことも付け加えておきます。
 金はないがやる気はあるという方は、元金千円または2千円であなたのビジネスを始めてみませんか。今でもこれだけの金額でビジネスを起ち上げることが可能です。千円を千回転、一万回転、それどころか百万回転させる気迫で体を動かしましょう。
スモールビジネスの資金不足をなげく前に、ぜひ回転で勝負することを考えてみてください。回転を繰り返すうちに一つの勢いが発生して、それにより多くのビジネスチャンスも舞い込むものです。頭を回転させ、そして資金を回転させることで、ビジネスも回転させていくことができるのです。

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